岩手県立宮古病院

岩手県立宮古病院-形成外科

形成外科

概要

 形成外科とは、身体に生じた組織の異常や変形、欠損、あるいは整容的な不満足に対して、あらゆる手法や特殊な技術を駆使し、機能のみならず形態的にもより正常に、より美しくすることによって、みなさまの生活の質 "Quality of Life" の向上に貢献する、外科系の専門領域です。(日本形成外科学会ホームページより引用)

 なお当科は岩手医科大学形成外科の関連施設であり、口唇口蓋裂、小耳症、漏斗胸、頭蓋骨縫合早期癒合症、顎変形症などのより高度な専門治療が必要と判断される先天異常や、美容外科的要素を含む疾患および病態の改善については適宜紹介を行っています。

 

対象疾患と診療内容

 皮膚良性腫瘍、悪性腫瘍の切除と再建 顔面骨骨折を含む顔面外傷 手指の外傷 温熱熱傷およびその後に生じる瘢痕拘縮 顔面および手足の先天異常 デュプイトレン拘縮 糖尿病性壊疽を含む難治性潰瘍 褥瘡 眼瞼下垂など形成外科全般を取り扱っています。(レーザー治療は行っておりません)

 特に口唇口蓋裂は集学的治療が望まれるため、出生後に小児科より紹介を受けた段階で外科的治療の概略を説明致しますが、1才未満の適切な時期に岩手医科大学形成外科、矯正歯科を紹介して成長に応じた治療をお願いしています。

 なお火焔熱傷はほとんどの症例で気道熱傷を合併しており、熱傷面積の大小にかかわらず生命予後に直結するため岩手医科大学高次救急センターでの治療をお願いしています。

 

手術件数

 手術は全て予約制で行っており、年間の手術件数は入院手術が96例、外来手術が216例となっています。(2023年1月~12月)

腫瘍性疾患

 形態の維持が求められる顔面の皮膚良性腫瘍(黒子、母斑症、脂漏性角化症、粉瘤、脂肪腫など)の切除術が最も多く、眼瞼、鼻、口唇周囲などの単純切除術に制約がある部位では局所皮弁を用いた再建を心がけ整容面にも配慮しています。顔面の皮膚悪性腫瘍例は切除範囲が拡大するため、全身麻酔下に複数の局所皮弁を用いる事で再建を図っております。また機能的には踵などの足底荷重部に生じた悪性腫瘍の切除再建に、動脈を茎とする皮弁を用いることで歩行に支障がないよう努めています。          

 皮膚腫瘍以外では神経性腫瘍(神経鞘腫など)や唾液腺腫瘍(耳下腺、顎下腺より生じた腫瘍)および頚嚢胞にも対応しています。

 

手指の外傷

 欠損を伴う指尖損傷例の治療にあたっては、安易な短縮(断端形成術)は避けるとともに日常生活に支障がないよう手掌(母指球)皮弁を用いた再建を行い、機能、整容の両面での損失を少なくする様に配慮しています。

 

骨折

 顔面骨骨折は鼻骨骨折が最も多く、次いで眼窩底骨折を含めた頬骨骨折が多い。ともに全身麻酔下に行いますが2泊3日程度の入院加療としています。下顎骨骨折は咬合が最も優先されるため、術前に岩手医科大学歯学部矯正歯科を紹介して一時的な顎間固定(手足の骨折で用いるギプスの代わりです)を行って頂いてから、全身麻酔下に観血的固定術を口腔内より施行しています。また手術時には矯正歯科医に立ち会って頂き、一時的な顎間固定で再度咬合を確認後に顎間固定を解除して気道を確保して帰室します。翌日充分な自発呼吸を確認後にエラスコット(ゴム製の輪)を用いて当院で顎間固定を行い、その後は定期的に矯正歯科へ通院して頂いています。

 

手足

 手足の先天異常は出生直後に小児科より紹介を受けています。手術は生後1歳前後から行い、足であっても整容面に配慮した縫合を行っています。近年本邦でも報告が多くみられる様になったデュプイトレン拘縮症例も比較的多く、拘縮した手掌腱膜の切除後にZまたはVY形成術を併用して皮膚拘縮の解除も合わせて得ております。その他として手足に生じた骨性腫瘍(軟骨腫など)や中年女性に多くみられるガングリオンなどの切除術や陥入爪手術も行っております。

 

難治性潰瘍(特に下腿潰瘍)

 近年の糖尿病有病者数の増加に伴い、下腿難治性潰瘍で受診される方の多くを糖尿病性壊疽が占めています。また検診などを受けておらず糖尿病を自覚されていない方が多いのも沿岸地区の特徴と思われます。この様な未治療糖尿病患者さんは重症化して救急外来を受診する例も少なくありませんが、糖代謝内科医との連携を強化して集学的治療を行っています。また最近では、重症例においても局所陰圧療法を併用してできるだけ小切断にとどめるように努めており、踵を温存する事で自立歩行が可能となる方も増えています。またその他の重症虚血肢に対しても下肢救済を第一目標として可及的切断にとどめ、退院後はフットケア外来で再発防止と予防に努めています。

 

 

褥瘡

 褥瘡は負担の少ない筋膜皮弁術や穿通枝皮弁術で再建しています。また手術適応のない方は週1回の褥瘡外来(後述)と褥瘡回診(入院の場合)で対応しています。

 

整容的疾患

 高齢者の弛緩性眼瞼下垂は視野が狭くなり日常生活に支障が生じるため、除皺術と眼瞼挙筋前転術を併用した眼瞼形成術を行っています。なお私費治療となる美容外科手術は施行していません。

 

特殊外来

 褥瘡および糖尿病性足病変の方には、それぞれ予約制で褥瘡外来(毎週火曜日13:30~14:30)、フットケア外来(毎週水曜日10:00~12:00)を設け対応しております。

 

診療担当医師

氏名 鈴木 偉彦 (すずき ひでひこ)
役職名 参与兼形成外科長
出身大学 岩手医科大学(院)
学会資格等 日本形成外科学会専門医・認定医、学位記

 

氏名 菅原 隆二郎(すがわら りゅうじろう)
役職名 形成外科医長
出身大学 岩手医科大学
学会資格等  

 ※岩手医大より、毎週木曜日に応援医師を派遣していただいております。

 

診療予定表(予約制)

 
午前 手術 手術

新患・再来

(鈴木)

(菅原)

手術

新患・再来

(鈴木)

(菅原)

午後

新患・再来

(鈴木)

(菅原)

再来

(鈴木)

(菅原)

手術 手術・病棟 休診

診療時間

午前 9:00~12:00
午後 13:30~16:00(月)
   13:30~14:30(火)